可換環論と代数幾何学の最高の入門書「Atiyah-MacDonald可換代数入門」

「可換代数入門」(Atiyah‐MacDonald著)は共立出版から出ている環と加群の入門書で、「Introduction To Commutative Algebra」の日本語版です。本書は可換環論や代数幾何学を本格的に勉強したい人にぜひおすすめしたい一冊です。

項目 評価
使いやすさ ★★★★★
詳しさ ★★★★★
おすすめ ★★★★★
レベル 中級
対象 大学四年生~

環、イデアル、加群の専門書として完成度が非常に高い

本書は環と加群を主に扱っています。体とガロア理論は含まれていません。数学ではハーツホーンなどの代数幾何学の入門書として位置づけられています。

説明は基本的にわかりやすく、重要なポイントとそうでないポイントで詳しさに差をつけています。また各章に練習問題がたくさんついている。海外の専門書によくあるパターンですが、この練習問題のレベルが低すぎず高すぎずという感じで、初めて環を勉強する方も挫折しないで最後まで読み通せるでしょう。

練習問題をきちんと解くことで相当力がつきますね。

他の可換環の専門書と比べて厚さは薄く、しかし適度なボリュームがある。学ぶ人間の負担をできるだけ減らそうというスマートな印象があります。

代数幾何学の基本としての可換環論

可換環は非常に幅が広くきりがありませんが、本書は代数幾何学において必要になるポイントに的を絞っています。例えばスペクトラム、ネーター環、離散付値環、正則局所環など。本書の最終章は正則局所環ですが、これは代数幾何学で使う最も重要な環の一つです。

一方、可換環そのものを勉強したいという方はやや不満が出てくるかもしれない。本書では物足りないという方は同じ共立出版の「可換環論(松村)」をおすすめします。

「可換代数入門」の使い方

章末問題を飛ばさないこと。これに尽きます。特にネーター環あたりの問題は非常に重要。

本書の面白さは最終章の次元論にあります。ここをきちんと読んで、問題をきちんと解いて、環(特に正則局所環)という概念の面白さと重要性がよく理解できれば、ハーツホーンなどの代数幾何学系の本を読むときの負担が減るでしょう。

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