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消費者物価指数(CPI)の上昇率が実感と大きく乖離している理由

総務省によると、2023年10月最新の消費者物価指数(総合)は前年同期比で3.3%上昇しました。メディアがよくとりあげるコアCPIは前年同期比2.9%上昇。今回扱うデータはすべて総務省e-Statから引用。

3.3%という数値はおそらく多くの人が感じる物価高と乖離しています。生鮮食品を除くコアCPIも同様です。

乖離の原因は総務省の統計をよく見るとわかります。生鮮食品だけの物価上昇率はなんと前年同期比14.1%です。また、卵(乳卵類)の物価上昇率は19.2%。食料の物価上昇率はおおむねこんな感じで実生活の感覚と一致します。

また、コンビニやスーパーでよく買う家事雑貨の上昇率は7.0%、家事用消耗品は13.1%で、これも体感に近い。

なぜ消費者物価指数が実感と乖離するか? それは消費者物価指数の計算に使われる食料のウェートが、多くの消費者にとって低いように感じるからです。全体を10,000として割りふられた項目のうち、食料は2626の重みがあります。一方、住居は2149、交通通信は1493です。

例えば、車に乗らない都心部の住人は交通通信の重みが相当低くなりますが、統計上の重みは食料の半分以上を占めます。

食料はほぼ毎日支払う項目で、私たちが最も敏感になる出費部分です。他がそれほど上がらなくても、食料がとてつもない速度で上がれば、私たちは「物価高が想像以上に進行している」と感じます。

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