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四半期GDPの「年率換算」「前期比年率」とはなにか?実際に計算して発表値になるか確かめる

2023年7-9月期のGDP四半期成長率は-0.7%で、年率換算は-2.9%でした。…というニュースを見るも、「年率換算」の正確な意味を知らないでスルーする人は多いと思います。

今回はこの年率換算についてざっくり解説します。結論から言うと、四半期成長率が4四半期(つまり1年)続いた場合の成長率を「前期比年率」といいます。または四半期成長率の「年率換算」といいます。

ブルームバーグは前期比年率という言葉を使い、日本経済新聞は年率または年換算と表現しています。公式データを発表する総務省は「年率換算」「年率」という言葉を使っています。

引用
GDP改定は下方修正、個人消費など下振れ-景気回復の弱さ示す - ブルームバーグ日本版
GDP、年率2.9%減に下方修正 7〜9月改定値 - 日本経済新聞

ちなみに「前期比年率」と「前年同期比」は似た言葉ですが、異なる概念です。

計算をわかりやすくするために、2023年7-9月期のGDP四半期成長率を10%と仮定します。これは2023年4-6月期のGDPを100としたとき、2023年7-9月期のGDPが110であることを意味します。

2023/4-6 … 100
2023/7-9 … 110

この場合、2023年7-9月期のGDP成長率の年率換算は、成長率10%が4回連続で続いたときの成長率として計算されます。つまり1年前の2022年7-9月期を100として、そこから4四半期連続10%成長したときの年間成長率を計算します。

期間 GDPの割合
2022/7-9 100
2022/10-12 110
2023/1-3 121
2023/4-6 133
2023/7-9 146

4四半期連続で10%増加しています。実際に正しいのは直近の2023/4-6から2023/7-9の部分で他はただの仮定にすぎません。

とりあえず46%が年率換算です。

年率換算は四半期成長率の4倍近くですが、もともとの四半期成長率が大きいとずれます。10の4倍は40ですが、計算結果は46。率の重ねあわせが指数計算であるためです。

46%上昇した値、つまり1.46は次のように計算します。

\[ (1.1)^4 = 1.4641 \]

続いて、実際の値である-0.7%を考えます。総務省とメディアが発表したこの数値、本当は-0.73%です。

\[ 558,240.3 \div 562,338.0 = 0.9927 \\ (0.9927 - 1) \times 100 = -0.73 \]

期間 GDP
4- 6. 562,338.0
7- 9. 558,240.3

引用 総務省

この0.9927を使って年率換算を計算します。

\[ (0.9927)^4 = 0.9711 \\ 0.9711 - 1 = -0.0289 \\ -0.0289 \times 100 = -2.89 \]

となり、発表値の-2.9%に一致しました。

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