日本仏教の歴史 聖徳太子から鎌倉仏教まで

仏教は6世紀頃日本にやってきます。聖徳太子が仏教を積極的に取り入れた後、奈良時代になって聖武天皇が鎮護国家の大義で全国各地に国分寺を建立したことで、仏教は国教としての性格を強めていく。日本仏教を理解する上で聖徳太子と聖武天皇の二人は必ず出てきます。

★ 聖徳太子

仏教が日本に定着するきっかけを作ったのは聖徳太子。高校倫理では聖徳太子の次の事項が重要になる。ちなみに和の精神と三宝はどちらも十七条憲法に記されています。

  • 和の精神
  • 三宝 … 仏、法、僧
  • 世間虚仮唯仏是真
  • 三経義疏 … 聖徳太子が著したとされる仏教の注釈書
  • 法隆寺  … 推古天皇と聖徳太子が建立した寺院

和の精神の『和』は今でもよく使われる日本と日本人の性格であり、十七条憲法の一で「和をもって貴しとなし」と述べています。みんなが秩序を乱すことなく話し合っていけば物事はうまくいくということです。

三宝は中学受験でもよく問題になりますが、聖徳太子は仏、法、僧の三つを宝として敬うように言いました。

「世間虚仮唯仏是真」は「世間は虚仮なり、唯仏のみ是れ真なり」と訓読し、世間というものはむなしい空のようなものであり、仏のみが真実であると意味します。

★ 奈良時代

日本全国に仏教の思想が広がるきっかけを作ったのは聖武天皇であり、当時の仏教は鎮護国家としての性質がとても強い。聖武天皇はなにを建立したか覚える必要があります。

  • 奈良東大寺の大仏
  • 全国の国分寺

また聖武天皇の他に鑑真と行基の二人も僧として活躍します。

鑑真 … 唐から来日し唐招提寺を建立し、東大寺に戒壇をつくる 行基 … 仏教を民衆に布教し、東大寺大仏の建立にも携わる

鑑真は日本に戒律制度を導入したことで日本仏教のあり方を変えます。鑑真は東大寺に戒壇をもうけて、多くの人に「正式な僧である証」を授けます。戒律制度はわかりやすくは「僧という資格制度」です。ここでようやく僧というものが政治的に確立した資格となります。

★ 平安時代前期

平安時代に活躍した僧は最澄と空海です。

最澄 … 天台宗、法華経、比叡山延暦寺 空海 … 真言宗、密教、高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)

著作物

最澄 … 山家学生式、顕戒論(けんかいろん) 空海 … 三教指帰(さんごうしいき)、十住心論(じゅうじゅうしんろん)

この二人は小学校の時からずっと習い続ける重要人物で、宗と教えと山と寺をセットで覚える。法華経と密教は両方とも仏教の教えの一つで、法華経を重視する宗派を天台宗と呼ぶわけです。

最澄は大乗仏教の流れをくみ、特に法華経を重視して比叡山に延暦寺を建立する。「一切衆生悉有仏性」(いっさいの生きるものはことごとく、仏になる可能性を持っている)と説いて、生まれついての資質などに関係なく、私たちの全員が仏になりうるという教えを広めます。この考え方を法華一乗という。

ここで再び戒律制度が出てきます。鑑真によって僧になりたい者は東大寺などの戒壇で受戒する必要がありましたが、最澄は比叡山の延暦寺に自分の宗派の戒壇を作ってしまいます。

空海は密教(大日如来の教え)を重視し、高野山に金剛峯寺を建立する。空海は、人は誰でも生きたまま仏になれるという即身成仏の考えを持ち、そのためには三密を実践しなければいけないと説きました。

★ 平安時代中期~後期

平安時代中後期にその後の仏教史を変える浄土信仰末法思想が生まれます。浄土信仰は、この世はとても苦しいところだが、阿弥陀仏の慈悲によって私たちは極楽浄土に往生できるという考え。ここでようやく仏教らしい言葉、阿弥陀仏と極楽浄土という言葉が出てきます。阿弥陀仏は「ナムアミダブツ」のアミダブツです。

また末法思想は、時代は下るごとに悪くなっていくという思想で、時代を以下のように区分しています。ここで教とは仏の教え、行とは正しい修行、証とは悟りを意味します。

  • 正法 教・行・証が存在する
  • 像法 教・行のみが存在する
  • 末法 教のみが存在する

時が下るとまず証が消え、ついで行が消え、最後は教だけしか残らない。日本では1052年から末法の世に入ると言われ、平安後期から修行も悟りもない残酷な世界になると考えられてきました。

浄土信仰は空也と源信が有名で、特に源信が著した往生要集の「厭離穢土、欣求浄土(おんりえど、ごんぐじょうど)」が試験に出やすい。これは「穢れた世の中を厭い、極楽浄土を求めなさい」という意味です。

★ 鎌倉時代

高校倫理で最も厄介なところが鎌倉仏教。鎌倉時代に出てきた僧をリストアップしてみましょう。

  • 法然
  • 親鸞
  • 一遍
  • 栄西
  • 道元
  • 日蓮

この六人を三、二、一と分けます。

法然、親鸞、一遍 栄西、道元 日蓮

上から順番に浄土宗系、禅宗系、その他となります。禅宗系が浄土宗系を批判し、日蓮が浄土宗系と禅宗系を批判するという基本構図を覚えましょう。これは浄土宗が他人(阿弥陀仏)の力にすがるのに対し、禅宗が自分の力でなんとかするからです。

法然(浄土宗)

法然は他力本願と専修念仏の二つがポイント。

・他力本願

末法の世に生きる以上、自力によっては極楽浄土に行けない。もはや阿弥陀仏にすがるしかないという思想。他力本願という四字熟語はいまだに残っている。

・専修念仏

阿弥陀仏にすがるためにひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えれば救われるという思想。南無阿弥陀仏という言葉は法然が有名にしたのですね。

親鸞(浄土真宗)

親鸞は法然の思想をさらに強めた僧であり、根本的な思想は法然と同じ。つまり法然の他力本願親鸞の絶対他力になります。

他力本願 → 絶対他力

親鸞にとって絶対他力とは、人が阿弥陀仏にすがって南無阿弥陀仏と唱えることすらも実は阿弥陀仏のおかげであるというもの。

また親鸞は悪人正機説を主張したことで有名です。その名の通り悪人が正しく、悪人が阿弥陀仏によって救われるという考えですが、ここで悪人の意味について誤解しないことがポイント。

悪人 … 阿弥陀仏にすがるしかないと思っている人 善人 … 自力でなんとかしようとしている人

つまり悪人正機説は絶対他力をさらに強めた考えです。

法然から親鸞になって他力本願思想が強化されていく

他力本願 → 絶対他力 → 悪人正機

一遍(時宗)

一遍は全国を回り、踊念仏を広めました。捨聖や遊行上人とも呼ばれており、宗派は一遍が有名である理由はなによりも、いまだに残っている盆踊りの風習です。盆踊りの由来は諸説ありますが、一遍の踊念仏が盆踊りの大きなきっかけとされています。

栄西(臨済宗)

栄西の臨済宗は禅宗の一つで、ポイントは公案と看話禅(かんなぜん)にあります。

公案  … 師僧が修行僧に与える問題 看話禅 … 修行僧は公案を考え、悟りを得ようとする

道元(曹洞宗)

只管打坐 … ひたすら坐禅せよ 身心脱落 … 身も心もわずらいから解き放たれる 修証一等 … 修行と悟りは一致する

道元はこの三つの四字熟語を覚えるところが大切。道元は坐禅をなによりも重視し、ひたすら坐禅することでやがて身心脱落に至ると言います。また修行は悟りを開くための手段ではなく、悟りそのものであると説きました。

日蓮(日蓮宗)

日蓮は南妙法蓮華経で知られる僧で、法華経をなによりも重視し、南妙法蓮華経を唱えること(唱題)により成仏できると説きました。

日蓮は他の浄土宗や禅宗に比べて攻撃的な側面を持っており、次の四箇格言を残しています。

日蓮の四箇格言

念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊

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