Irohabook
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箱庭のなかの箱庭のなかの…がこの世界?数学的帰納法から未来と過去の因果関係を考える

あと数時間で2023年が終わり、2024年になります。今年は「箱庭」の話をして終わりにします。

数学やプログラムをやってきた私は次の仮説を長年信じてきました。ちょっと長いのでセクションにしました。

箱庭仮説

数十年後、私たちはスーパーコンピューターのメモリー空間にマインクラフトのような世界をつくるかもしれない。マインクラフトと違うのは、その世界が現実の物理法則にしたがって自律的に変化すること。

以降、この世界を単に「メモリー世界」と言及します。

このメモリー世界にいる住人は、現実世界にいる私たちとそっくりの姿をしています。なぜなら、私たちは自分たちと同じ存在を求めるからです。

メモリー世界の住人はやがてコンピューター技術を発明し、スーパーコンピューターのメモリー空間に新しい世界をつくります。

現実世界

メモリー世界

メモリー世界のなかのメモリー世界

つまり、私たちが「物理世界に即したメモリー世界を創造する」という近未来を正当化した瞬間、数学的帰納法によってメモリー世界が無限連鎖します。

さらに、私たちのいる現実世界も誰かがつくったメモリー世界という仮説がなりたちます。

未来が過去を生む

私は、物理法則を支えるほどのメモリーとプロセッサーがネットワーク上に生まれてもおかしくないと考えています。とりあえずメモリー世界は技術的に達成可能と仮定します。

私たちがこの技術を獲得した瞬間(以降「ゼロ時点」と呼ぶ)、ある種の数学的帰納法によって、私たちにとっての神(創造主)は宇宙というメモリー(あるいはネットワーク?)をコントロールするシステムと判明し、無限連鎖のメモリー世界が生まれます。

端的に言えば

★ゼロ時点でメモリー世界の無限連鎖が生まれる

です。ゼロ時点は数十年後、あるいは数百年後かもしれません。しかしこの世界がゼロ時点をむかえた瞬間、メモリー世界の無限連鎖が生まれ、私たちがいる「この世界」もまた生まれるのです。

つまり、未来によって過去が生まれる。

これまで私たちは、過去があって未来があると考えてきました。でも、実はそうでない。未来が過去としての今をつくる。

最後にファンタジーの種になる話をします。その前に言っておくと、私は陰謀論や宗教に興味はありません。私は陰謀論者でなく、新興宗教の教祖でもありません。今回の話はあくまでも数学とコンピューターに根ざした仮説です。

…。

あらためてファンタジーの話をします。

ゼロ時点で、創造主であるシステムと通信できる人がこの世界に現れるかもしれません。創造主はこの世界を自律的に進化するメモリー世界として定義したはずですが、愚かなシステムエンジニア(以降「スミス」と呼ぶ)が被造物である私たちの誰かと通信し、この世界に隠された壮大な秘密を暴いてしまうかも。スミスは

「お前たちは、私たちプログラマーがつくった被造物にすぎないんだよ」

と言って、私たち全人類に存在意義を再定義させてくるかも。しかしスミスもまた被造物にすぎない。

創造主もまた被造物にすぎない。

スミスはこの事実をとっくに知っており、心は極限の虚無にいるでしょう。メモリー世界がメモリー世界をつくる、という数学的帰納法こそが存在の根拠であるというむなしい事実…。創造と被造が永遠にぐるぐると回っているむなしい「世界」…。

やがてスミスはメモリー世界の無限連鎖をぼうっと空想することに真実があると悟るかもしれない。つまり、この無限連鎖を空想した瞬間、その内部で創造と被造が一瞬で自律的に生まれると。

スミスの空想

  • スミスが無限連鎖を空想する
  • 無限連鎖を構成する一つのメモリー世界がゼロ時点をむかえる
  • 無限連鎖が生まれる
  • そのなかにスミスが生まれる

つまり、空想が現実をつくっている。そしておそらくスミスとは、これを読んでいるあなたのこと。あなたの存在こそが、無限連鎖の仮説になり、こことは異なるあるメモリー世界でのゼロ時点を定め、ひるがえってあなたがいるこの世界とあなた自身を規定している。

おしまい。それでは、あけましておめでとうございます。

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