漫画が売れない(売上が減った)と言われる理由を考えた:漫画家は過去の名作と戦って本屋のスペースを確保する
漫画家でも出版社の社員でもない私が漫画の売上をああだこうだと言うのはおかしい。けれど、私はなんでも分析したがる性格で、漫画の売上が落ちたと言われる理由をあいまいな憶測で考えました。
「おい!素人のくせに知ったくちを聞くな!」
と漫画関係者に言われることをわかったうえでこの記事を書いた。
過去の名作のせいで漫画の売上単価は落ちる
ドラゴンボールや幽遊白書がいつまでも売っているので、新規の漫画は世に出にくくなっています。Amazonで本を買うとき、たくさんの漫画をおすすめされますね。新作も旧作もすすめられるとすれば、新作一冊があなたの目に入る確率は「漫画発行量の増加」にともなって下がります。
☆漫画の総量が増える→目立ちにくくなる→一冊あたりの売上が減る
これはすべての産業に通じます。競争が増えると全員の期待利益率が下がる。
旧作を目立ちにくくすれば新作の単位あたり売上は伸びるでしょう。しかしそれは過去の作品で食べている漫画家の売上を減らすことになり、将来の漫画家のモチベーションを確実に削る。漫画業界はこのジレンマを解消するために売上総量を増やす必要があります。その方法として
- 英訳して世界に売る
- 紙から電子への移行をもっと加速させる
があります。
ニッチ化、マニアック化、多様化
日本はいつも文化を細分化してマニアックな方向を強化します。漫画を含めてあらゆる文化がどんどん多様化しているので、そのニーズに応えうる漫画の売上は年々下がる。
不思議なことに多様化は巨大な一様化も生みます。みんながマインクラフトのゲーム実況をやるのと同じで、ひどく大衆受けした凡庸なトレンドが漫画にも生まれる。結果、日本では
- かなり斬新なコンテンツ、または
- かなり凡庸なコンテンツ
の二極化が漫画業界で起きて、そのどちらにはまったものがヒットする感じになる。前者は多様化、後者は一様化の結果です。コンテンツの二極化は映画産業でよく見られる現象です。多様化の例として「2001年宇宙の旅」があります。一様化はアメリカのハリウッド。ハリウッドは単純で凡庸な映画を大量に生み、それを世界中に輸出することで成長しました。
ここで重要なことは、傾向はあくまでも多様化ということです。よく「どいつもこいつも同じような作品を作りやがって!まったく今の作家は!」と言う人がいるけど、それは違う。むしろその逆が現実に起きている。ほとんどの人は非常に多様なコンテンツを作っているが、あまりにニッチで大衆の目にとまらない。結果、漫画家はどこかで方向転換して大衆受けするコンテンツを製造しようと考える(いや、違う!と言いたい漫画家や出版社もいるかもしれないけど、私の目には全体としてはそう見える)。
凡庸な作品はアイデアを生む時間や編集時間が比較的短く、しかも工場のラインにあるコモディティと同じように大量生産されていきます。しかしニッチな作品はアイデアを形にするまでの時間が長いため、コストが高くなります。
メディアの種類が増えたこと
私は前に「Netflixの株を買わない理由」をどこかで説明しました。ざっくり説明すると、Netflixはドラマや映画に依存しているが、メディアはそもそもソーシャルメディアとゲームという二大メディアに支配されつつあるので、今のNetflixに未来はないということです。Netflixがゲーム産業に参入するという話を聞いたときは「やっぱり…」と思いました。
メディアはインターネットのせいで多様化し、小説、漫画、アニメ、ドラマ、映画、ゲーム、アプリ、ソーシャルメディアに分散しました。今まで漫画を読んでいた人はもはや漫画にこだわる必要はなく、ソーシャルメディアで4コマ漫画的なものを読んで満たされてしまう人もおそらく増えました。
メディアの種類が増えたことで、漫画一冊あたりの売上が減った可能性もあります。
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