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Appleの経営戦略から書店の生き残り戦略を考えてみた:新刊+書店専門グッズで価格を上げる

書店は競争戦争最前線に立たされてどんどん潰れている。本屋を作りたいと思っていた私は定期的に書店の経営について考えています。そこで今日なんとなく思いついたことをなんとなく書きます。

アメリカの企業は 2022 年から大規模な解雇をくりかえし、金利上昇と物価高による売上減少とコスト高を乗りこえようとしていますが、アップルが大量解雇しない理由、グーグルやアマゾンと違う経営の質 2023年2月11日 - ブルームバーグも解説するように、Apple はリストラをおさえている希少な会社の一つです。

Apple は効率経営の鑑で在庫回転率はきわめて高い。開発費率はそこまで高くなく、一平方メートルあたりの利益も他のテクノロジー企業より優れている。それはスマートフォンやパソコンの質が高く、質のぶんだけ値段も高いから。

これを書店に当てはめると

  • 新刊だけ置いて回転率を上げて
  • 面積あたりの売上を伸ばす付加価値をつける

戦略がよさそう。

大型の書店が潰れてしまうのは、あまり売れない古い本をいつまでも置くから…と言うのは簡単だけど、それをやったら味気がなくなるし、書店の公共的空間としての意味が消えちゃうかも。

でも、経営者の側に立ったらそんな悠長なことは言ってられない。そこで新刊のみにしたらどうなるか思考実験する。

まず消費者はなんとなく書店に行く。そこで新刊を見るが、たぶん半分以上の人は既刊を買う。新刊しかなかったら「なんだよ古いのないのかYO!」って怒りそう。

でも最初から新刊を目当てにしている人は、目当ての本を買ってそのまま帰る。

つまり「うちは新刊だけだよ。既刊はないんだ。だって Amazon に勝てないもん」ってあらかじめ宣言しておいて、新刊専門家のみを客にする必要がある。学習参考書や実用書は本質的に新刊既刊の区別がほとんどないから、マンガと小説のみでいくしかない。マンガが一番売上よさそうだし…。

「おいらのお店、新しいマンガしかないよ。だから新刊しか興味のない人はこいや」と言っても他の店と差別化できないから、フロア面積を縮小するマイナス戦略しかできない。こうした『圧縮して効率を上げる』戦略は崩壊気味の会社が最後にやる戦略です。

なのでもう一個ぶちかます。それは新刊にグッズをつけて差別化をはかる戦略。つまり、新刊買ってくれたらキャラクターグッズをつけるよ、ちょっと高くなるけどって言う。

「グッズはうちにしか存在しないから」

と言っとくのが大事。

大学生のときの私だったらその店に行く。新刊重視の客はそもそもコアなんです。90年代以降のアニメやマンガの歴史を全部整理してみたで説明したように、私は千冊以上のマンガをもっていました。代表的なマンガが全部もっている。だから既刊コーナーはそもそも見ない。

マンガをたくさんもっている人は新刊を買う場所をよく考えます。というか Amazon とそれ以外をてんびんにかける。値段じゃない。ぶっちゃけ三十円の違いでは店を変えない。グッズのありなしで決める。グッズがついてプラス百円だったらそっちを買う(要調査)。とにかく価格を上げないことには経営改革は始まらない。

結論
新刊のみで、新刊にグッズをつけて価格を上げる戦略

でもって話はここで終わらない。この新刊戦略は立地が重要。アニメが好きな男は秋葉原か中野にしか行かない。女性は池袋にも行く。新刊主義者を客にするなら、秋葉原、中野、池袋の三つに絞ることが不可欠になります。そうしないと客をとられちゃう。

結論:
新刊しか買わない客を対象に、秋葉原のどっかに新刊オンリーの店をつくる。新刊には必ずグッズをつけて、一冊あたりの価格をつりあげる。

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